バッティングで重要な割れ(捻転差)とは?練習方法もご紹介

野球のバッティングの極意としてよく語られる「割れ(捻転差)」という言葉。

野球をやっている方なら一度は耳にしたことがあるでしょう。

しかし、いきなりバッティングのアドバイスで「割れ(捻転差)を作れ!」と言われても、実際のところよくわかりませんよね?

ただ、プロ野球選手でも、打率を残している一流の選手はスイングの際に「割れ(捻転差)」がしっかり出来ているのも事実です。

そこで今回は、野球のバッティングで勘違いされやすい「割れ(捻転差)」とはどういうことなのか、解説していきます。

割れ(捻転差)の作り方や、割れを意識する際のポイントも含めて紹介していきますね。

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バッティングの割れ(捻転差)とは

野球のバッティングの「割れ(捻転差)」とは、バッティングフォームでトップを作る際の上半身と下半身の相反する動きのことです。

具体的に、右打者を例にとって紐解いていきましょう。

右打者の場合、ピッチャーの投球モーションに合わせて、グリップを右肩の方向に引いてトップを作ります。

その後、スイングをしてミートに向かう過程では、左足はピッチャー側に踏み込むような動きになりますよね?

上半身(腕)はキャッチャー側に引いて、下半身(左足)はピッチャー側にスライドしていくというこの相反する動きのことを「割れ(捻転差)」と表現します。

画像で割れを表すとこんな感じです。

この割れ(捻転差)については、ピッチングでも同じような表現をされることもありますね。

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割れ(捻転差)の作り方

割れ(捻転差)を上手く作るには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。

一つずつ見ていきましょう。

  • トップを作るときに、グリップを後ろに引く
  • 重心は後ろの足に残す
  • 同時に、前側の足をピッチャー側に踏み込む
  • トップを決めて「タメ」を作る
  • 重心を後ろに残しつつ、筋肉の収縮でスイングする

バッティングの割れ(捻転差)を作るときにイメージするべきは、弓道で弓矢を引いているときの形です。

弓矢の場合、前後に引く力が強ければ強いほど威力がアップします。

バッティングの割れ(捻転差)もこれと同じで、割れ(捻転差)がしっかり出来ているほどスイングのスピードは上がるわけです。

バッティングの割れ(捻転差)を弓矢に当てはめると、グリップ部分が矢で、下半身のピッチャー側の足が弓になります。

ですから、トップを作るときにしっかり深くグリップを引き、逆に前方に足を踏み出すことで弓矢のようなエネルギーを溜め込みます。

そこから手を離した弓矢のように、引き延ばされた筋肉が勝手に収縮するようなイメージでスイングするのです。

割れ(捻転差)がしっかり出来ていれば、スイングを始動してミートするまで、グリップやヘッドの移動距離が長くなります。

その分バットを加速させる時間が取れるので、強い打球が打てるわけです。

野球のバッティングにおける「割れ(捻転差)」は、力任せに振らなくても勝手に鋭いスイングをするために重要なテクニックだということですね。

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割れ(捻転差)があるスイングのメリット

バッティングの際にしっかり割れ(捻転差)が作れていると、どんな利点があるのでしょうか?

  • パワーのあるスイングができる
  • バッティングフォームが安定する
  • ボールを見やすくなる

パワーのあるスイングが出来る

前の項でもご説明したように、バッティングの割れ(捻転差)とは弓矢をめいっぱい引いた状態と同じです。

深いトップをしっかり作り、重心を後ろに残しつつ投手側の足を踏み込めれば、そこから爆発的なスイングスピードを生み出すことが出来ます。

勝手に速いスイングが出来るようなイメージなので、力まずに鋭いスイングが出来るようになるのです。

当然バットにもパワーが伝わりやすいスイングなので、打球の速度や飛距離は向上しますよね。

フォームが安定する

バッティングに割れがしっかりあると、自分の打撃フォームを崩されにくくなります。

ピッチャーとキャッチャーがバッテリーで協力して打者を攻略するときには、いかに打者のバッティングフォームを崩すかがテーマです。

緩急を使って、バッターの重心を前に引き出してフォームを崩した打ち方をさせれば、凡打に打ち取れる確率も上がるわけですね。

そこでしっかり割れ(捻転差)が出来ている打撃フォームが身についていれば、トップがしっかり決まって重心も捕手側の脚に残るので、フォームが崩されにくくなります。

割れ(捻転差)によって打撃フォームが安定すれば、緩急によって翻弄されることも少なくなるわけです。

安定したフォームは、間違いなくヒットの確率を上げることに繋がりますからね。

ボールを見やすくなる

割れ(捻転差)があるバッティングフォームなら、目線の位置も安定した上に振りだす準備がしっかり整うので、ボールの見極めもしやすくなります。

割れ(捻転差)をしっかり作って、弓矢でいうギリギリまで矢を後ろに引いた状態(トップの位置)が完成すれば、あとはそこからスイングを始動するだけです。

ボールをじっくり見る時間が確保できるので、バットの芯でコンタクトできる確率も上がるでしょう。

割れ(捻転差)が無いスイングだとどうなる?

それでは逆に、スイングに「割れ(捻転差)」がしっかり出来ていないとどんなリスクがあるのでしょうか?

  • 打球の威力が落ちる
  • フォームがすぐに崩れる
  • スランプに陥りやすくなる

打球の威力が落ちる

スイング動作で割れ(捻転差)がしっかり出来ていないと、身体のパワーをバットに伝えられないので打球の威力は弱くなります。

腕力や体重がある人ならある程度大きな打球が飛ぶかもしれませんが、割れ(捻転差)があるのとないのでは、外野フライとホームランぐらいの差が出るでしょう。

割れ(捻転差)が無いと下半身も安定しないですし、上半身の回転だけで打つことになるので、芯で捉えてもそこまで強い打球が飛ばなくなるのです。

フォームがすぐに崩れる

割れ(捻転差)が出来ていないと、トップが決まらないのですぐに重心がブレます。

変化球の球種やコースによって、前後左右に揺さぶられたときに自分のスイングが出来なくなるでしょう。

なかなか自分のバッティングをさせてもらえず、打ち取るのが簡単な打者になってしまいます。

まずストレートなど速球系のボールを見せておいて、追い込んだら緩い変化球を投げておけば、勝手に重心が前に崩れて空振りしてくれるはずです。

割れ(捻転差)がないとトップが定まらないので、スイングにいってから「ボール球だ!」と思っても、バットが止められません。

割れ(捻転差)がないせいで、必然的に三振も増えます。

スランプに陥りやすくなる

バッティングは水物と言われるように、その日によって調子がまちまちです。

スランプに陥ってしまったら、再び調子を上げるきっかけを掴むまで苦労しますよね。

元々のバッティングフォームにちゃんと割れがあれば、調子が良い時のフォームに基準があるので、修正しながら戻すことも出来ます。

しかし、本来のバッティングフォームに割れ(捻転差)が無ければ、どのように調子を戻したらいいのか基準が無いのでわかりません。

結果的に、スランプも長引いてしまうでしょう。

では、どうやってこの割れ(捻転差)を作れるようになるのか練習方法について次に解説します。

割れ(捻転差)を作る練習方法

割れ(捻転差)を上手く作れるようにするには、意図を持って練習を繰り返す必要があります。

割れ(捻転差)を作るのに有効な練習方法を見ていきましょう。

脚閉じスイング

左右の足を閉じて、つま先を揃えた状態でスイングをする練習です。

軸足にしっかり体重を残して振る感覚を養えるので、非常に有効と言えます。

軸足ティーバッティング

通常のティーバッティングは、ピッチャー方向に向かって打ちますよね。

割れ(捻転差)を作るためのティーバッティングでは、あえてネットと正対するように立ちます。

そして軸足あたりにボールをトスしてもらう、または置きティーを置いて、しっかり軸足に体重を乗せて正面に向かって打ちましょう。

割れ(捻転差)が出来ていないと強いスイングが出来ないので、自然と流れの中で割れを作る練習になります。

2球に1球は割れ(捻転差)を作った状態から打つ

バッティングセンターなどで2球に1球は割れ(捻転差)を作った状態から打つことで体に覚えさせます。

これは個別に指導していただいている大石コーチに実際に教えてもらった方法です。

この方法で捻転差ができるようになりました。

次に割れ(捻転差)を作る際の注意点について解説します。

割れ(捻転差)を作るときの注意点

割れ(捻転差)を意識的に作ろうというときには、いくつか注意しなければならない点もあります。

3つのコツを整理しておきましょう。

  • グリップを背中側に引かない
  • 前側の肩をかぶせない
  • 下に引いたままにしない

グリップを背中に引かない

割れ(捻転差)を意識してグリップを引いてトップを作るとき、グリップを背中の方に向かって引くとバッティングフォームを崩す原因になります。

イメージ的には真後ろのキャッチャー方向に引きたいのですが、背中に引くとどうしても回旋動作が加わってしまいます。

上半身を後ろに捻ることになるので、スイングをする際にも再び上半身を逆向きに捻らないといけません。

上半身の回転だけを頼ってスイングすると、ピッチャー側の肩の開きが早くなってかえってバットが出てこなくなるのです。

前側の肩をかぶせない

割れ(捻転差)を作る際に、前側(右打者なら左肩、左打者なら右肩)をホームベースにかぶせるように動かしてはいけません。

身体全体がホームベース側に捻るような動作になるので、そこから振りだすときに今度は前側の肩を思いっきり開くことになります。

肩の開きが早いと、パワーが伝わりにくい上にバットのヘッドも走りません。

ヘッドを走らせるコツは、こちらの記事でもぜひ確認してみてください。

バッティング【ヘッドを走らせるの意味】ヘッドが出てこない3つの原因

スランプの原因にもなるので、前側の肩は動かないように注意しましょう。

グリップを下に引いたままにしない

割れ(捻転差)を作るときには、グリップを後方に引いてトップを作ります。

その際に、グリップを下げるように引いてしまうとスイングのエネルギーを生み出しにくいです。

一度下に引いてから上に持ち上げる、いわゆる「ヒッチ」という動作なら問題ありません。

割れを作ることで、バットを上から降ろす位置エネルギーも味方につけたいので、トップを作るときにグリップを下げすぎないように注意しましょう。

ヒッチ動作については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

≫ヒッチとコック【野球で大活躍するバッターになるスイング革命】≪

まとめ:割れ(捻転差)が出来ればパワーヒッターに

  • 「割れ(捻転差)」とは上半身と下半身の逆向きの動き
  • 割れ(捻転差)ができればスイングスピードはアップ
  • ボールも見やすくなる
  • バッティングフォームも安定する
  • 前側の肩をかぶせないように注意

 

バッティングの割れ(捻転差)とは、スラッガーには必須のテクニックです。

引き伸ばされた筋肉が縮もうとする身体の仕組みや、バットを加速させる助走距離を稼ぐという物理的な理論を両方組み合わせた、非常に理にかなった技術と言えます。

割れ(捻転差)をしっかり論理的に理解できれば、より一層好打者になれるはずです。

ぜひ意識して練習してみてくださいね。




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