野球のキャッチャーに求められる能力や役割【捕手の素質とは?】

キャッチング技術の良いキャッチャー

キャッチャーは、野球の守備位置の中でもかなり異質なポジションと言えます。

ピッチャーを除いて、他の8つのポジションの中でもとりわけ守備的な負担が大きいと言われていて、その役割も多いです。

かつての名将であり自身も名捕手であった野村克也さんは「キャッチャーはグラウンド上の監督」というような言葉も残しています。

それだけ重要なポジションでありながら、少年野球などでもキャッチャーについて詳しく教えられる指導者が少ないというのも事実です。

そこで今回は、野球のキャッチャーという守備位置について、その役割や求められる能力についてご紹介していきます。

キャッチャーと他ポジションの違い

捕手がサインを出すところ

キャッチャーは、グラウンド上で他の野手と唯一逆方向を向いて座っているポジションです。

野球場の形を模して「扇の要」と称されることもあり、野球の守備の中で最も重要なポジションであると言われています。

そのため、特にプロ野球などではキャッチャーのレギュラー選手が頻繁に変わるということは少なく、一度固定されたらしばらくは変動しないのが通例です。

それだけキャッチャーとしての能力はもちろん、経験も必要だということですね。

キャッチャーの質次第では、チームの防御率が大きく左右され、キャッチャーの弱いチームはなかなか勝てません。

ピッチャーと合わせて「バッテリー」と呼ばれることもあり、野球の勝敗の大部分を占める存在であることがわかります。

漢字では「捕手」と表記され、英語では「catcher」と表現されます。

ポジションごとに割り振られている番号は「2」で、少年野球や高校野球のレギュラーキャッチャーは背番号2番をつけていることが多いです。

また、キャッチャーは他の選手とは違い、防具を付けたり専用のミットを着用して守ります。

キャッチャーマスクを外したときの姿や、泥だらけで身を挺してボールを止める姿などは、しばしば「かっこいい」と憧れの的になるポジションです。

ただ、ピッチャーの投球を常にしゃがんで受けるという体勢的な辛さや、かならず投手に向かって毎回返球するという肉体的な負担なども相まって、最も過酷なポジションとも言われます。

それだけでなく、キャッチャーとしてピッチャーをリードしたり配球を考えたりするのも仕事なので、頭脳労働もしなければなりません。

頭の中でバッターを打ち取るイメージを働かせることを「インサイドワーク」と言いますが、肉体だけでなく頭脳や精神的にも疲労が溜まるポジションということですね。

キャッチャーの役割

暴投を必死に止めるキャッチャー

キャッチャーは守備でやらなければならない仕事は群を抜いて多いポジションです。

キャッチャーとしての代表的な役割を抜き出してみましょう。

  • 投手のボールを受ける
  • 配球を考える
  • 投手をリードする
  • 野手全体にポジショニングの指示を出す
  • ホームベース周辺の打球処理
  • ホームベースのカバー
  • 1塁や3塁ベースのカバーリング

投手のボールを受ける

キャッチャーの最も基本的な役割は、ピッチャーが投げるボールを受けることです。

しかし良いキャッチャーになればなるほど、投球をただキャッチャーミットに収めるだけではありません。

ストライクかボールか際どいコースに来たボールを、キャッチの仕方で上手くストライクに見せる「フレーミング」という技術も兼ね備えています。

また、投手が投げた変化球やストレートに対しても、球威に負けずミットをしっかり保てる捕手が能力の高い捕手です。

配球とリード

稀にピッチャーがサインを出して、投げる球種を決めているチームもありますが、ほとんどの場合はキャッチャーがサインを出すことで球種を決めています。

また、投げるコース、インコースやアウトコースだけでなく高めや低めといった配球についてもキャッチャーが考えているはずです。

その時のピッチャーの調子や、バッターの打撃傾向や仕草などを見て、最も打ち取れる確率の高い配球を考えることがキャッチャーの役割になります。

そして、時にはピッチャーのメンタルやモチベーションの管理もしなければならず、いかに思い切って腕を振って投げてくれるようにするかもキャッチャーが苦心する部分ですね。

ポジショニングの指示

アウトカウントや点差、イニングなどを考慮して、野手陣にポジショニングの指示を出すのもキャッチャーの仕事です。

もちろん内野手や外野手と連携して行うのですが、やはり相手打者を最も近い場所で見ているキャッチャーの指示が優先されます。

前進守備や中間守備、外野の前進や後退、さらには引っ張り警戒の守備位置など細かく指示を出すこともあるでしょう。

更には牽制のサインをキャッチャーが出しているチームもあるので、ランナーのリードの大きさや第二リードの取り方も見ておかなければなりません。

打球処理

3塁ランナーがいるときは別として、ホームベース周辺に転がった打球処理も行います。

多くはバントの打球になりますが、バッターが打ち損じてその場で高く弾むような打球を処理することもあるでしょう。

ランナー1塁での送りバントの打球を素早く処理して2塁で封殺することが出来れば、ゲッツー(併殺打)が取れてチームも大きく助かります。

ランナーが3塁にいる場合は、前に出すぎてホームベースを空けてしまうと楽々得点されてしまうので注意です。

ベースカバー

ホームベースをカバーして送球を受けるのは、基本的にキャッチャーの仕事です。

むしろ、キャッチャーがファーストやサードのベースカバーに向かうことはほとんどありません。

ランダウンプレー(挟殺プレー)などでランナーを追ったときや、ワイルドピッチやパスボールなどで投球を後ろに反らしたときなどは、ピッチャーを含め他の野手がホームベースに入ることがあります。

カバーリング

例えばランナー無しでバッターが内野ゴロを打った場合、内野手が打球を処理してファーストに転送します。

その際、キャッチャーもバッターランナーと一緒に1塁に向かって走り、ファーストのカバーリングに向かうのです。

サードゴロや三遊間寄りのショートゴロでは角度的にライトのカバーが重要になりますが、セカンドゴロの場合はキャッチャーのカバーが重要になります。

面倒くさがらずに毎回しっかりカバーに走っていると、万が一エラーが出たときも素早く処理して進塁を防げるどころかアウトを取ることも可能です。

後は、レフトからサードへ送球されるときに、悪送球などに備えて準備をしておきます。

キャッチャーに求められる能力

構えるキャッチャー

キャッチャーはショートやセンターなどと違って、長い距離を走って打球を追うということはありません。

そのため、足の速さが求められるケースは少ないはずです。

その分、他に秀でた能力が必要になります。

キャッチャーに求められる能力を整理していきましょう。

  • 肩の強さ
  • スローイングの正確さ
  • キャッチングの上手さ
  • フレーミング技術
  • ワンバウンドのボールを後ろに反らさない(ストッピング)
  • 記憶力
  • 観察力
  • 周囲に気を配る力
  • 身体の強さ

やはりキャッチャーに最もあってほしいのは肩の強さです。

特にランナー1塁の場面で、キャッチャーの肩が弱いと盗塁のフリーパス状態になってしまいます。

こうなると、フォアボールやシングルヒットがツーベースと同じになってしまうので、ピンチを迎える回数が一気に増えてしまうのです。

強さだけでなく、ベースの真上でタッチしやすい場所に投げられるスローイングの正確性も求められます。

どんなに鉄砲肩でも、スローイングの安定感が無いと盗塁を仕掛けられる数も増えてくるでしょう。

また、キャッチングフレーミングの技術も重要です。

日本では、ピッチャーのボールをキャッチしたときに「バシンッ!」と良い音をさせられるキャッチングが良いキャッチングだと言われています。

曲がり方の大きい変化球に対しても、ボールを追いかけてミットが流れるのではなく、しっかり止めることが出来た方が印象が良いです。

さらに、際どいコースをしっかり審判にストライク判定してもらうために、フレーミングの技術も求められるでしょう。

そしてワンバウンドのボールでも後ろに反らさない、ストッピングの技術も必要になります。

バッターを打ち取るためには、あえて地面にバウンドするような低さで変化球を要求することも重要です。

その際にしっかり止められなければ、ピッチャーも安心して腕を振れません。

後は記憶力観察力で、相手バッターのこれまでの打席結果や狙っている球種などが読み取れる場合は、リードが有利になります。

ピッチャーの精神面や、エラーが続いたときの野手陣への声掛けなど、フィールド全体を見ることも求められる能力ですね。

何より身体の負担が群を抜いて大きいポジションなので、ケガをしにくい身体の強さがないとキャッチャーのレギュラーは務まりません。

キャッチャーに向いている性格

ボールを見極めてフォアボールを選ぶ打者

キャッチャーは目立たない地味な仕事も多いですが、キャッチャーの質によって試合の結果が大きく変わってきます。

キャッチャーに向いている性格というのは

  • マメな性格
  • 人間観察力のある人
  • 責任感のある人

といったところでしょうか。

一球ごとにピッチャーの様子やバッターの行動を観察して、狙い球を汲み取る努力が必要です。

また、相手バッターだけでなく、味方の投手が何の球種を投げたがっているのか察する力もあると良いでしょう。

普段からピッチャー陣とコミュニケーションを密にして、信頼関係を築いていく必要がありますね。

そして何よりキャッチャーは、「打たれたらキャッチャーの責任、抑えたらピッチャーの功績」となる風潮があります。

いわば、相手打線を抑えて当たり前と思われているポジションでもあるので、打たれた時の責任を背負うだけの責任感があると投手の信頼も勝ち取れるでしょう。

キャッチャー守備のポイントと練習方法

ホームベースと黒土

キャッチャーの守備を上達させるには、捕手の行動を大きく5つに分けて考えながら練習すると良いです。

  • キャッチング
  • スローイング
  • ストッピング
  • リード
  • バント処理やカバー

この5つの項目について、リード以外に共通するのは「フットワーク」です。

ソフトバンクホークスに所属している甲斐選手の動画を見てみてください。

肩が強いのはもちろんですが、そのスローイングの強さを生み出しているのは足の運び方なのです。

フットワークが素早く力強い動きができると、全ての動作にプラスになります。

ですから、キャッチャーで最も練習しなければならないのはフットワークです。

例えばこんな練習方法があります。

しゃがんだ状態で軽くジャンプしたり、スローイングの形を何度も作ったりするなど、とにかく反復練習がメインになります。

キャッチャーにとってすべての動作の礎となる練習なので、良いキャッチャーになるためにはぜひ取り入れてみてください。

プロ野球の代表的なキャッチャー

ボールを捉えてセンター前ヒットを打つ選手

プロ野球でも活躍するキャッチャーを確認して、理想のキャッチャー像をイメージしておきましょう。

城島健司

福岡ダイエーホークスからアメリカメジャーリーグのマリナーズに移籍しても大活躍した、キャッチャーとして初の日本人メジャーリーガーです。

シーズン30本塁打以上を記録した打力が持ち味の選手ですが、常識に捉われないリードと強肩で守備でも平均以上のキャッチャーでした。

古田敦也

打力があまり求められないポジションでありながら、城島と並んでバッティングでも大活躍していた捕手です。

シーズンの盗塁阻止率歴代ナンバーワンを誇る強肩と、真似できないフレーミング技術を持ったキャッチングは天下一品でした。

プロ野球界最強のキャッチャーとして名前が挙がる人物です。

谷繁元信

中日ドラゴンズ一筋で、選手兼任監督まで務めた谷繁選手。

通算3021試合出場という日本記録も持っています。

身体が強い上に、インサイドワークに優れていて、守備力が高いという理想的なキャッチャーと言えます。

阿部慎之助

読売ジャイアンツ一筋で、通算2000本安打やシーズン40本塁打、首位打者などを獲得した希代のスラッガーとしても知られています。

まさに「扇の要」というべきキャプテンシーが凄く、チームにとってなくてはならない存在でした。

キャッチャーに打力を求める風潮が出来たのも、城島や古田に続いてこの阿部慎之助選手が登場したことも大きかったでしょう。

甲斐拓也

福岡ソフトバンクホークスの正捕手で、2018年の広島東洋カープとの日本シリーズでは8連続盗塁阻止というすさまじい記録を残してMVPを獲得しました。

圧倒的な肩の強さから「甲斐キャノン」と呼ばれ、相手ランナーの盗塁の抑止力になっています。

小林誠司

読売ジャイアンツでは、打率の低さがやり玉に挙げられることも多いですが、そもそもキャッチャーというのはそこまで打てなくても良いポジションです。

それよりもストッピングの技術や、「バズーカ」と呼ばれるほどの球界屈指の強肩で、守備での貢献度が高い選手でもあります。

現在の日本球界で、最も過小評価されている選手の一人かもしれません。

まとめ:キャッチャーはスローイングなど守備が大切

キャッチャーは、他の野手よりもやるべきことが多いので守備の負担が圧倒的に大きいです。

スローイングやキャッチングなどの目に見える動作だけでなく、相手バッターの観察などインサイドワークの鋭さも要求されます。

その分打撃での貢献度は低くても良いので、とにかく守備面での精度をアップさせていくことがチームの勝敗を握ると言っても良いでしょう。

テレビの野球中継などでも配球を勉強して、経験値を身に着けながら成長していきましょう。
 

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