キャッチャーのリードと配球は別物⁉【基本と応用を総まとめ】

キャッチャーの最も大きな仕事の一つと言えば「リード」です。

少年野球でもプロ野球でも、ほとんどのチームではキャッチャーがピッチャーにサインを出す形でリードしているでしょう。

しかしこの「リード」というスキル、しっかりと指導できる指導者が少ないという問題点があります。

リードの正解とは何なのか?「配球」とは意味が違うのか?そんなことを理路整然と教えられるコーチや監督がどのくらいいるでしょうか。

そのまま経験に任せるような育て方では、チームで捕手を任される選手に大きな負担がかかってしまいます。

そこで今回は、キャッチャーが行うリードについて、その基本セオリーについてまとめていきましょう。

リードの基本を覚える前に

キャッチャーとしてまずリードの基本を学ぶ前に、そもそものリードの考え方を整理しておく必要があります。

リードについては、全ての人間に通用するような最強のリード方法があるわけではありません。

場面によって通用しやすいセオリーはありますが、毎回同じ方法ではバッターに読まれてしまいます。

試合の中で、最終的にはキャッチャーとピッチャーが自分でオリジナルの配球を考えなければならないのです。

そこで、リードを考えるときの材料となる思考法を知っておきましょう。

  • 配球の必要性を知っておく
  • 組み立ての考え方
  • バッテリーの意思疎通方法を決めておく
  • どう打ち取りたいのか、理想のゴールを決める
  • 最初のストライクをどうやってとるのか決める

配球の必要性

そもそもなぜキャッチャーがリードする必要があるのか?という話です。

極端な話、ピッチャーが150㎞のストレートを投げられて、相手打線が全くタイミングが合っていない場合はリードの必要すらありません。

ストライクゾーンめがけてどんどん投げ込んでもらえばいいわけですからね。

リードが必要なのは、直球でいくのか変化球で行くのか、またはコースはどのあたりを狙うべきなのか考えて攻めないと抑えられない場合です。

120㎞程度のストレートと、緩いカーブしか投げられないピッチャーが、どうやって相手打者を凡打にするのかというのがリードの見せ所になります。

同じ球種でも、同じテンポで淡々と投げていれば打たれますが、左右の出し入れや高低差を使うだけで一気に被打率は下がるものです。

組み立ての考え方

キャッチャーがリードをするときに考えるべきことを大まかに整理すると

  • ピッチャーの持ち球
  • その日の調子
  • バッターの調子や傾向
  • 控えているリリーフピッチャーとの違い
  • イニング数やカウント、点差

などなど、その時に試合に出ている選手以外のことも頭に入れてリードする必要があります。

その結果、あえてインコースを続けた配球を選択して、後半戦への布石にするなど1試合トータルで見た組み立てをすることが大切なのです。

意思疎通方法を決めておく

オーソドックスな方法としては、キャッチャーがピッチャーにサインを出してリードする方法です。

しかし、投手との力関係や性格によっては、ピッチャー側がサインを出して球種を決めることもあります。

また、ベンチから監督がサインを出してバッテリーの配球に介入するケースもあるでしょう。

このように、一言でリードと言っても様々な形があります。

ピッチャーがいかに気持ちよく投げられるかを優先するのか、キャッチャーやベンチにあるデータを優先するのかなど、意思疎通の方法を決めておく必要があるのです。

打ち取り方を決めておく

リードする上で最も大切なのは、そのバッターをどのような形で打ち取りたいのか理想的な凡打の形を共有しておくことです。

アウトの取り方は様々で

  • 三振を奪う
  • ゴロアウトにする
  • フライアウトにする

少なくとも3パターン考えられます。

どれもアウトカウントが一つ増えることには変わりないですが、状況によってはゴロを打たせたくないときもあるはずです。

例えば1点差で9回表、1アウトランナー3塁といった場面では、内野ゴロが1点に繋がる可能性が出てきます。

そうなると、内野フライか浅い外野フライ、または三振でアウトを取れるのが理想的な形ですよね。

まずはバッテリーの間でゴールを共有して、そこから逆算したリードが必要になります。

最初のストライクの取り方

リードする上では、有利なカウントに持ち込むということが出来れば非常に楽に攻められます。

特に初球は、どんなピッチャーでもストライクが欲しいものです。

  • 空振り
  • 見逃し
  • ファール

3種類あるストライクの取り方のうち、1ストライク目をどうやって取るのかも重要になります。

絶対にストライクゾーンに投げなければいけないわけではありません。

大チャンスでの代打など、打つ気満々のバッターに対してはあえてボール球を投げて、ファールや空振りを誘うというリードもあります。

初球でストライクが取れれば、それだけで一気にバッテリーが有利になるのです。

試合展開やバッターの性格や調子を見極めて、いかに有利なカウントのまま進めることが出来るかというのも、リードの腕の見せ所ですよね。

リードの基本セオリー

リードというものは、個々のキャッチャーの性格やピッチャーの力量、バッターの実力によって個性が出るものです。

ただその中でも、基本の型と呼ぶべき理にかなった「セオリー」というものが存在しています。

まずはリードの基本的なセオリーを覚えて、そこから派生させていくのが良いでしょう。

  • 決め球の把握
  • 打者の傾向とデータ
  • 投手の調子
  • 対角線を使う
  • 高低差を使う
  • 緩急を使う

決め球の把握

決め球とは、2ストライクに追い込んだ後に空振りが取れるまたは見逃しストライクが取れるボールのことです。

その投手の中で、最も得意な変化球が決め球になることが多いでしょう。

2ストライク後は、ヒットを打たれるにせよ打ち取れるにせよ、打撃結果が出やすいカウントです。

バッターもスイングする確率が高いカウントなので、もっとも質の高い変化球を使いましょう。

また、ストレートに威力がある場合は、ストレートを決め球とすることも出来ます

決め球はウイニングショットとも呼ばれ、その日の中で最もキレがあって走っている球種を選ぶと良いでしょう。

打者の傾向とデータ

リードを成功させるには、そのバッターの傾向や直前までの打撃結果などのデータを駆使した方が良いです。

引っ張る打球が多いとか、外側のボールにほとんど手を出してこないとか、何か一つでも癖のようなものが分かれば一気にリードがしやすくなります。

例えばアウトコースのボールにほとんど手を出してこない打者の場合は、多少甘いゾーンのストライクでも見逃してくれる確率が高いです。

もし振ってきたとしても、苦手なコースである可能性も高いので、おそらく打ち取れるでしょう。

勝負をかけたいカウントで、傾向を掴んだ配球が出来れば優位に戦えます。

投手の調子を把握する

同じ投手であったとしても、毎日同じような質のボールを投げられるわけではありません。

ストレートが走っていない日や、変化球の曲がるタイミングが早すぎる日など、調子が日々変化するものです。

まずは投球練習の段階から、ピッチャーの調子を見極めておきましょう。

球種ごとの質だけでなく、高めのボールが抜け気味だとか、低めを叩きつけてしまうなどリリースの傾向もわかるとリードに活かせます。

対角線を使う

リードで最もオーソドックスで効果があると言えるのが、ストライクゾーンの対角線を使う戦略です。

内角高めと外角低め内角低めと外角高め、この組み合わせで配球していくことでバッターの目線を外すことが出来ます。

例えば、内角高めに2球続けて威力のあるストレートを投げさせ、最後に外角低めのスライダーで空振りを誘うというリードが簡単です。

最初に内角を意識させて腰を引かせることで、外のボールへの対応力を削ぐという考え方ですね。

高低差を使う

三振を狙うときには、高低差を意識したリードが有効です。

例えば、低めにワンバウンドするような変化球で2ストライク目の空振りを奪った後、高めのボールゾーンへのストレートで空振りを誘うというリードがあります。

高低差を使った配球をすることで、バッターのストライクゾーンの目測を狂わせる作戦です。

緩急を使う

細かいコースを意識しなくても、緩急を使ったリードができれば高い確率で打者を抑えることが出来ます。

野球界では、緩急を使った配球のことを「奥行を使う」と表現することもあります。

例えば、2ストライクまでは速球系のストレートやスライダー、カットボールなどの球種で攻め、最後に緩いカーブでストライクを狙うという配球です。

バッティングで最も大切なのはタイミングですから、バッターはそれまでの速球系のボールにタイミングを合わせてきます。

そこに遅い変化球を投げて、全くタイミングが合わない空振りまたは見逃しを誘うのです。

これならあまりコントロールが良くないピッチャーでも、リードによって相手を抑えることが出来ます。

バッターの特徴に合わせた配球方法

リードでは、ピッチャーの持ち球だけでなくバッターの仕草などでもヒントを得ることが出来ます。

打席内のどんな部分を観察すればいいのか、まとめていきましょう。

  • バットの持ち方
  • バッターボックスの立ち方
  • ステップの仕方
  • スイング軌道
  • 前の打席結果
  • ボールの見逃し方

バットの持ち方

例えばバッターがバットを短く持っている場合、振り遅れないようにコンパクトなスイングを心がけているのかもしれません。

その場合、おそらくタイミングを早めに取るように意識しているはずです。

そこへ逆に、スローカーブなど遅い変化球を中心に配球し、惑わせることも出来ます。

また、アウトコースでフィニッシュするように配球して、最後はバットが届かないところで空振りを奪うというリードも考えられますよね。

バッターボックスの立ち方

バッターによっては、打席事にバッターボックスの立ち位置を微妙に変えてくる選手がいます。

例えばピッチャー寄り、バッターボックスの前の方に立ち位置を変えている場合、変化球が曲がり切る前に叩こうとしている意思が見えませんか?

そこを利用して、速球系をインコースにガンガン攻め立てるというリードも有効です。

ホームベースから少し離れて立ち、インコースのボールをど真ん中に見ようとしているバッターもいます。

その場合は、ボールゾーンのインコースに速球系を配球し、最後に外側の緩い変化球で凡打を狙うというリードもアリでしょう。

あえてバッターボックスから離れて立つことでアウトコースを誘っているケースもあるので、球種ごとの反応の仕方を見ておきましょう。

ステップの仕方

スイングで踏み込んだ際に、アウトコースの方に踏み込んでいるのか、少し開き気味に踏み込んでいるのかでも狙い球が見透かせます。

グッと外側に踏み込むようなステップをしてきた場合には、やはりアウトコースを狙う意識があるはずです。

そこであえて望み通りアウトコースのボールゾーンに緩い系のボールを投げて誘い出し、最後にインコースの速球系でズバッと終わらせるという配球も良いでしょう。

スイング軌道

アッパースイングの軌道でスイングしている打者にとって、高めのボールは打ちにくいものです。

特に2ストライク後にインコース高めにストレートを投げることで、簡単に空振りがもらえるかもしれません。

逆にダウンスイングの場合、インコースが窮屈で打ちにくい傾向もあります。

インコースを多めに配球して、詰まった凡打を狙うというのもアリですね。

前の打席結果

直前までの打席結果で明らかな傾向がある場合も、リードの参考になります。

例えば2打席連続で詰まった内野フライに打ち取っている場合は、バッターのタイミングが遅れていることが考えられます。

緩いボールを交えてカウントを有利に整え、速球系のボールで決めに行くというリードが良いでしょう。

逆に詰まることを嫌って早めにタイミングを取ってくることもあるので、最後にチェンジアップなどの遅い変化球で体勢を崩すというのも上手いリードです。

ボールの見逃がし方

ボール球だったとしても、その見逃し方である程度何を狙っているのか判断することも出来ます。

ワンバウンドするような明らかなボール球に対して、打ちに行って止めるような見逃し方をしている場合、低めに目を付けていることがわかります。

その場合は、少し甘くても高めのゾーンでストライクを取りに行って大丈夫です。

明らかに速球系のボールにタイミングを合わせているような見逃し方であれば、高めのインコースへ速球系を投げて誘い出すから、追い込んでから緩いボールをアウトローというのはオーソドックスではあります。

このように、バッターの反応だけでも見えてくるものがたくさんあるので、キャッチャーというのは観察眼が大切なのですね。

シチュエーションに合わせた配球方法

リードの目的は、ただ打ち取るだけではありません。

最良のアウトの取り方を目指すために、シチュエーション別の配球方法の例をご紹介していきましょう。

送りバント

送りバントが考えられる場面では、選択肢は二つです。

  • 早めにバントをさせてしまう
  • フライを上げさせる

ランナー1塁であれば、あえて初球でバントをさせてしまい、少ない球数で早めにアウトカウントを増やしておくというのも良いです。

バントをさせないように神経を使うのではなく、取れるアウトを確実にもらっておくというのも堅実な守り方になります。

また、終盤の僅差で、しかもランナー1,2塁などの送りバントでは守備側の緊張感も高まりますよね。

バッテリーとして最高の結果は、バントがフライになってアウトカウントだけ増えるという結末です。

そうなると、速球系のボールをインハイに投げるのが有効になります。

もっともバントがしにくいコースでもあり、意外とアウトローよりもバントが失敗しやすいコースなのです。

犠牲フライ

犠牲フライの可能性がある場面では、深い外野フライを打たせないようなリードが必要です。

攻撃側がとにかく最低でも1点と考えているなら、外野フライだけを狙ってくることもあります。

もしそうだとしたら、高めのボールは要注意です。

低めで、アウトコース寄りに緩い系のボールやスライダーなどの半速球を配球し、最後にやはり低めのインコースに最も速いボールを投げるというのが有効になります。

バッターは反射的に詰まることを嫌うので、見逃し三振が取れるかもしれません。

進塁打

進塁打は、基本的に右方向へのバッティングになります。

打率が低いバッターであったり、調子の悪いバッターは最低でも進塁打という意識で打席に入っているかもしれません。

右バッターならアウトコースを流すこと、左バッターならインコースを引っ張ることに重きを置いているはずです。

そこで徹底して逆のコースを攻め、左右ではなく前後の奥行を使った緩急で翻弄するのが有効になります。

スクイズ

スクイズの場合、事前に察知するのは難しいと言えます。

そのため、常にバントしにくいことを意識した配球ばかりしていると、普通にヒッティングをされてタイムリーヒットを献上してしまうかもしれません。

スクイズを事前に封じるリードというよりも、スクイズが敢行されたときにワンバウンドなのか高めなのかどこのボールゾーンに外すのか打ち合わせておくべきです。

ストライクゾーンに来る確率が高いカウントこそスクイズの危険度が高いので、バッティングカウントのときに注意しましょう。

内野ゴロ

ランナーが3塁にいる場面など、内野ゴロすら打たせたくない場面もあります。

その場合は、三振か内野フライ、ないし浅い外野フライが最高のアウトです。

最終的に高めの釣り玉で三振かフライ、またはワンバウンドするような低めで空振り三振を狙うところに持っていきたいですね。

キャッチャーがするリードと配球は違う?

「リード」という言葉と「配球」という言葉は、似ているようで実は異なります。

  • リードは、配球以外の気配りを全て含んだ振る舞い
  • 配球は、コースや球種の組み立てを考えること

このような違いがあります。

要は、リードの中に配球が含まれるということですね。

リードとは単に変化球やコースの組み合わせを考えるだけでなく、ピッチャーの間合いや投げやすさなど、総合的に含めてケアすることです。

ですから、フォアボールが続いたときに間を取ってマウンドにいくとか、ボールを捕球したら素早く返すとか、そういった細かな気配りが必要になります。

ですから、厳密にいえばリードと配球は違うもので、配球だけでは不十分であるということですね。

リードが上手いキャッチャーとは

リードが上手いキャッチャーとは、単に配球の組み立て方が上手いだけではありません。

その他にも、メンタルや技術の面であらゆるケアが出来るキャッチャーのことを言います。

良いリードをするために気を付けなければならない項目としては

  • イニング数
  • その日の調子
  • ピッチャーの力の入れどころ
  • 点差
  • アウトカウント
  • 相手ピッチャーのレベル
  • 打たれた時の責任を負う姿勢

少なくとも、これらについては頭に入れてプレーしていくべきです。

イニングやピッチャーの調子によって、全力で腕を振るところと抜くところとメリハリをつけさせることができたら上級者です。

特に先発ピッチャーは、初回から全力が続けば最後まで体力が持ちません。

点差アウトカウント、試合の流れを考え、絶対にランナーを出してはいけない瞬間を察することができるキャッチャーは良いキャッチャーです。

また、相手ピッチャーのレベルと味方打線の力関係を考え、何点までなら許容範囲なのかを設定することも大切です。

最終的にはチームが勝てばいいわけですから、絶対に0点で抑えなければいけないわけではありません。

状況によっては、1点はしょうがないという場面だってあるのです。

そしてピッチャーが最も信頼を置けるのは、打たれたときにキャッチャーの責任として背負ってくれる捕手です。

投手はメンタルがやられると腕を振れません。

打たれてもすぐに切り替えられるように、精神的に頼れるキャッチャーというのは良いリードが出来るはずです。

まとめ:キャッチャーのリードを勉強しよう!

キャッチャーのリードを上達させるには、まず基本のセオリーを頭に入れておくことからです。

そして経験がものをいうポジションでもあります。

試合ができる回数には限りがありますから、野球中継などを見て勉強することが大切ですね。