野球のピッチャーにつくホールドとは?【条件やセーブとの違いって?】

ホールドのつく場面で登板する右利きの投手

野球のホールドとは、中継ぎ投手の一つの勲章でもあります。

草野球ではあまりホールドが重視されることはありませんが、プロ野球では公式記録として表彰される指標でもあるのです。

そんな「ホールド」という投手成績は、どのような条件で投手に付与されるのでしょうか?

今回は、ホールドがつく条件やセーブとの違いについて解説していきます。

ホールドとは

野球の試合で投げる左ピッチャーを3塁側から見たところ

野球の「ホールド」は、中継ぎ投手に付与される成績のことです。

先発投手の栄誉としては、「勝利投手」があります。

試合の最後を締める投手であるクローザーには、「セーブ」という指標がありますよね。

中継ぎ投手がその試合に貢献したときには、勝利やセーブではなく、「ホールド」という記録が残されるのです。

特にプロ野球では、ホールドが多い中継ぎ投手ほどシーズンを通してチームに貢献し続けていると言えます。

メジャーリーグではホールドという記録そのものは公式記録として定められてはいませんが、日本のプロ野球では重要視されるスタッツの一つです。

1996年にパシフィックリーグで最初に採用されたという経緯もあり、プロ野球全体で見ればまだ歴史が浅い投手記録と言えるでしょう。

そのため、ホールドの通算記録の上位を占めているのは現在でも活躍しているピッチャーが多いです。

ホールドの条件

アンダースローで投げるピッチャー

ホールドが記録されるのは、先発投手ではありません。

必ず、その試合の2番手以降に登板した投手に付与されることになっています。

しかし、マウンドに上がれば必ずホールドがつくわけではなく、ある条件を満たさなければ権利が与えられません。

ホールドの必須条件4つ

  • 先発投手ではなく、なおかつ勝利投手や敗戦投手でもなく、セーブも記録されていない
  • 自チームの最終守備イニングの3つ目のアウトを取得していない
  • アウトを一つ以上とっている
  • 降板した後、自責点や失点によってチームが同点または逆転されていない

まず一つ目は、先発投手ではないということです。

その上で、勝利投手や敗戦投手になっているわけでもなく、自身にセーブも記録されていないことが必須になります。

そして、自分のチームにおける最後の守備イニング3アウト目を取っていないことも条件として必要です。

例えば同点のまま延長戦に入ったとして、最終12回表の3アウト目を取得していた場合、そのまま裏の攻撃が無得点で試合が終了したとしてもホールドは付かないことになります。

さらに、アウトを最低一つ取っていることが必要です。

すなわち、投球イニングが1/3以上必要ということですね。

これはバッターをアウトにしても、牽制でアウトを取っても問題ありません。

また、自分が降板した後に、自分の投球時に出したランナーが生還して同点や逆転されていないこともホールドの必須条件です。

自責点失点という概念については、下記の記事も参考にしてみてください。

これら4つの、ホールドの必須条件を満たしたうえで、さらに下記のいずれかの条件をクリアする必要があります。

一つ以上満たすホールド条件

チームがリードしている場合
  • 3点以内のリードで、1イニング以上投げる
  • 点差に関わらず、3イニング以上投げる
  • 迎える打者2人に本塁打を打たれたら、同点または逆転される場面で投げる

チームがリードしている場面でリリーフ登板した場合、上記いずれかの条件を一つ満たしたうえで、リードを保ったまま降板しなければホールドの権利はありません。

これらの条件は、クローザーの「セーブ」がつく条件と同じです。

例えば3点リードの8回に登板した場合、同点に追いつかれることなくそのイニングを投げ切ればホールドです。

また、6回から登板して8回まで投げれば、たとえ10点差がついていたとしてもホールドになります。

登板してから2人の打者にホームランを打たれて同点になるケースというのは、例えば3点差でランナーが1人塁上にいる状態での登板です。

この状態で仮に2者連続ホームランを打たれたら、一気に3点が入るので同点になってしまいます。

もし1点差で勝っている状況なら、アウトを一つでも取得できればホールドがつくということでもありますね。

同点の場面で登板した場合
  • 同点のまま失点を許さずに降板する
  • 登板中にチームが勝ち越したら、リードを保って降板する

もし同点の場面で救援登板した場合は、上記2つのうちいずれかを満たす必要があります。

同点のまま失点を許さずに降板するというのは、自分が投げているときはもちろん、自分が出したランナーを後続のピッチャーがホームインさせないことも条件です。

例えば同点の場面で登板して、最初のバッターを三振に取ったとしましょう。

次のバッターにツーベースヒットを打たれて交代し、後を継いだピッチャーがタイムリーヒットを打たれたら、ホールドは付きません。

もし同点の場面で登板してそのままイニングを終え、その裏の攻撃でチームが勝ち越してくれた場合、そのまま次のピッチャーに交代すればホールドの権利が付与されます。

しかし、そのまま一度も同点や逆転されることなくチームが勝った場合、「勝利投手」となるのでホールドにはなりません。

ここで分かるのが、「チームが最終的に負けてもホールドがつく」ということです。

例えば投手Aが同点の6回表に登板して0点に抑え、6回裏の攻撃でチームが勝ち越したとしましょう。

次の7回表は頭から別の投手Bが投げれば、その時点で投手Aにホールドが付く可能性があります。

もし投手Bが逆転を許してそのままチームが負けたとしたら、投手Aにはホールドがつき、投手Bは「敗戦投手」ということになるのです。

ホールドとセーブの違い

ピッチャーを任せられた右投げのプレーヤー

ホールドもセーブもリリーフピッチャーに記録されるものとしては一緒です。

しかし、ホールドの場合は1試合に何人でも付与される可能性があります。

さらには、負けチームの中にもホールドの対象ピッチャーがいることもあるのです。

  • ホールドはチームの最終的な勝ち負けは関係ない
  • セーブは必ずチームが勝っている
  • ホールドは1試合の中で複数人が付与されるケースもある
  • セーブは必ず一人のピッチャーだけ
  • ホールドは試合の最後のアウトを取っていない
  • セーブは必ず試合の最後のアウトを取っている

ざっと挙げるだけでも、ホールドとセーブの条件ではこんなにも相違点があります。

さらに、ホールドの場合は同点の場面での登板でも付きますが、セーブは同点からの登板ではつきません。

例えば9回表の同点の場面で登板して3者凡退に抑え、その裏にチームがサヨナラ勝ちをした場合、その投手は「勝利投手」になり、セーブはつかないからです。

これがもし、同点の9回表に投手Aが登板してアウトを二つ取り、ツーアウトから投手Bが登板してアウトを取り、その裏にサヨナラ勝ちをしたらどうなるでしょうか?

投手Aにはホールドがつき、投手Bは勝利投手になるということです。

ホールドポイントとは

ヤンキースのピッチャー

ホールドには、「ホールドポイント」という中継ぎを評価するもう一つの指標があります。

ホールドポイントとは、ホールド数に加えて、「救援勝利数」を合計した数値です。

救援勝利とは、先発以外で勝利投手になったケースのことを指します。

救援勝利が付与される例としては

  • 同点の場面で登板して、登板中にチームが勝ち越してそのまま試合が終わった
  • ビハインド(負けている)場面で登板して、登板中にチームが逆転してそのまま試合が終わった
  • 先発投手が5回を投げ切らない状態で後を継ぎ、終始リードした状態のまま試合が終わった

といったケースが考えられます。

他にもありますが、とにかく「先発」以外での登板で自分に勝利が付いたときのことを「救援勝利」と言うのです。

基本的にホールドポイントは中継ぎ投手のチームへの貢献度を表すわかりやすい指標として扱われ、プロ野球ではシーズン終了後のタイトルとして表彰されることになっています。

その年に最もホールドポイントを稼いだ投手は「最優秀中継ぎ投手」という栄誉が与えられるのです。

投手の分業制が明確に確率されている今、ホールドポイントを多く稼ぐ投手がいるというのは、強いチームの重要な条件になっています。

ホールドの記録

野球の試合をセンター方向から見たところ

ホールドは比較的新しい記録なので、通算記録やシーズン記録も近代の選手が占めています。

1 宮西尚生 358
2 山口鉄也 273
3 浅尾拓也 200
4 S.マシソン 174
5 五十嵐亮太 163
藤川球児
7 青山浩二 159
8 増井浩俊 157
9 益田直也 145
10 J.ウィリアムス 141

通算ホールド数1位の宮西投手は、日本ハムファイターズ一筋で断トツのホールド数を稼ぎ出しました。

毎年の登板数も多い上に長きにわたって活躍し続けているので、「鉄腕」と称されることもあります。

シーズンを通じてほぼ毎試合ブルペンで待機して準備しなければならないので、肩や肘の消耗が激しいというのも中継ぎ投手の負担になっているのです。

単年のシーズンで見ると、セリーグ記録は2010年47ホールドを記録した中日ドラゴンズの浅尾拓也投手が最多で

パリーグ記録は2012年45ホールドを記録した、当時日本ハムファイターズに所属していた増井浩俊投手が最多です。

スコアを見る上では、ホールドは「H」と表現されます。

9回の最終イニングを締める、セーブを取得することが目的の投手は「守護神」とか「クローザー」と呼ばれるのに対し、その直前の8回を完璧に抑えてホールドを達成するのが任務の投手は「セットアッパー」と呼ばれています。

まとめ:ホールドの条件は様々

ホールドはセーブと似ている部分もあり、それでいて複雑な条件も多いので記録するのが難しいです。

草野球や学生野球のレベルで正確にホールドを記録に残し続けるのは難しいですが、プロ野球では重要な指標となっています。

ただ、最大の目的はホールドを記録することではなくチームを勝たせることなので、単純にホールドの数のみでリリーフ投手の力量を計ることはできませんね。