野球のセットポジション【投球ルールやワインドアップとの違い】

セットポジションで投げるダルビッシュ有

野球のピッチャーが行うセットポジションは、どのような投球ルールがあるのでしょうか?

普段はワインドアップやノーワインドアップで投げているピッチャーがセットポジションで投げるのは、ランナーが出ている時です。

ランナーがいるときは、必ずセットポジションで投げるべきなのでしょうか?

今回は、野球の投手が行う「セットポジション」について、その投球ルールやワインドアップとの違いについて詳しく解説していきます。

セットポジションの意味とは

セットポジションから投げるリリーフエース

セットポジションとは、2つ規定されている投手の正規の投球姿勢のうちの一つです。

ワインドアップ」と「セットポジション」という2つの投球方法があり、そのうちセットポジションは、ランナーが出た状態での投球フォームとして用いられます。

ワインドアップについては、上記の記事もぜひ参考にしてみてください。

セットポジションはワインドアップと違って、足の位置やグローブの位置などに若干の制限があります。

セットポジションの方が、投球動作開始からボールのリリースまでの時間が短縮できるので、盗塁の抑止や牽制のしやすさの面で利便性があるのも特徴です。

しかし、セットポジションに関する細かいルールに関しては、国ごとに若干解釈の違いがあります。

そのため、アメリカなど海外から日本の野球界にやってきた外国人ピッチャーが、審判からセットポジションの姿勢に関する注意を受けている場面も珍しくありません。

セットポジションでの足の位置やグラブの位置

ヤンキースの田中投手

セットポジションは、ワインドアップよりも細かな決まりやルールがいくつかあります。

足の位置やグローブの位置、ボールの持ち方などに関して、セットポジションのルールを整理してみましょう。

  • 打者に面して立ち、軸足は投手板(プレート)に触れる
  • 他方の足を投手板(プレート)の前に置く
  • ボールを両手で身体の前方に保持する

これがセットポジションです。

セットポジションの姿勢を取る直前には、腕を頭の上や前方に伸ばすなどストレッチ動作を取ることが認められています。

ストレッチ動作を行ったら、直ちにセットポジションに移行しなければなりません。

セットポジションの静止姿勢を取る前にサインを見る際は、投手板(プレート)に軸足を付けた状態で、利き腕を下に降ろして身体の横に着けておくこともルールです。

そこから一連の動作として、中断することなくセットポジションまでもっていきましょう。

さらに、ボールを両手で身体の前方に保持した形で、一度完全に静止しなければならないというルールもあります。

そのため、グローブの位置は必然的にお腹や胸の前に限定されるはずです。

ボールを両手で保持する位置は、身体の前であればどこでもOKですが、保持したらその場所で完全静止しなければなりません。

その後投球動作や牽制に移行するまで、首以外のどの場所も動かせなくなります。

また、ランナーがいない場面でセットポジションを用いることも可能です。

ランナーがいない場合は、セットポジションでの完全静止の義務が無いということも知っておくと良いでしょう。

セットポジションとボークに関するルール

最速170㎞を出す左腕

野球の投手に適用される反則行為の一つとして、「ボーク」というルールがあります。

正規の投球動作から外れてしまった動作のことで、セットポジションでの投球が行われる際にボークが起こりやすいです。

セットポジションに関するボークは、例えばこんなものがあります。

  • セットポジションで完全静止しなかった(ランナーありの状態)
  • 自由な足を、投手板の前に踏み出さずに投球した
  • 自由な足を一歩引いて、さらに踏み出してから投球した
  • 軸足を外さずに、牽制の偽投をした

まず、セットポジションのボークとして最も多いのは、完全静止しなかったというケースです。

セットポジションでの完全静止は、時間の規定がありません。

具体的に何秒以上という規定は無いのですが、日本ではルールが厳しいとされています。

そのため、外国人ピッチャーがしばしば日本の基準に戸惑うシーンもあるのです。

セットポジションから投球動作に移るときに、自由な足(右投手なら左足、左投手なら右足)を、投手板(プレート)よりも前に踏み出さなかった場合もボークです。

プレートの後ろに足がある状態でホームに投球は出来ませんし、プレートの真横でもダメです。

また、セットポジションからランナーのいる塁に牽制する場合、必ず牽制する方向に自由な足を踏み出さなくてはなりません。

その牽制の際、軸足を外さない状態で「偽投」を行うことはボークとなります。

例えばこんな感じ

偽投とは、投げるマネや投げるフリのことで、軸足を外さない場合は必ず牽制球を投げなければなりません。

軸足をしっかりプレートの後方に外せば、基本的にどんな動きをしても大丈夫です。

セットポジションとワインドアップの違い

牽制の上手いサウスポー

セットポジションとワインドアップの大きな違いは、バッターと対する身体の向きと、自由な足(軸足とは逆)を一度プレートの後ろに引くかどうかです。

ちなみにワインドアップの投球フォームはこんな感じ

セットポジションの場合は

  • 自由な足がプレートの後ろにいくことは無い
  • グローブと利き手でボールを持ち、完全静止する

という縛りがあります。

対してワインドアップの方は

  • 自由な足(軸足と逆の足)の置き場に制約が無い
  • 一度足を引いてから、前に踏み出すことができる

というルールです。

どちらも、投球動作が始まったら途中で中断することは出来ないという点は同じです。

ルール上は、ワインドアップの状態から普通に投球することはもちろん、牽制することも出来ます。

ただ、一度自由な足を後ろに引いてから投球するという性質上、ランナーに盗塁されやすいというデメリットがあるのです。

また、日本では、ワインドアップと「ノーワインドアップ」という投球フォームが区別されています。

どちらもワインドアップというルールの中で一括りにされますが、ノーワインドアップの方は、自由な足を後ろに引いたときに両手を頭の上に振り被りません

上で紹介した田中将大投手の投げ方は、いわゆるワインドアップです。

対してノーワインドアップはこんな感じ

セットポジションとワインドアップは、動き方の自由度が全く違うということですね。

セットポジションで投げるメリット

ヤンキースのピッチャー

セットポジションは、ランナーがいる場面ではほとんどのピッチャーが用いる投げ方です。

しかし、ランナーの有無に限らず常にセットポジションで投げている投手も存在しています。

それも近年、珍しい存在ではなくなってきているのです。

セットポジションで投げるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?

  • 制球が安定しやすい
  • 牽制がしやすい

特に身長が高い大型のピッチャーに、常時のワインドアップを採用する傾向が増えています。

その大きな理由が、「制球が安定しやすい」ということなのです。

セットポジションで投げる方が、投球動作の始動からボールを離す瞬間までの動きがシンプルに出来ます。

ワインドアップで振り被ったり、足を後ろに引いたりなどの余分な動きを排除できることで、身体の動きが毎回制御しやすいというメリットがあるのです。

先発ピッチャーであれば一試合に100球近く投げることもありますから、何度も同じ動きが正確に再現できた方が、コントロールが安定しやすいということですね。

また、セットポジションの方がランナーを牽制しやすいので、盗塁や自由なスタートを抑制することが出来ます。

もしランナー1塁でワインドアップで投げたとしたら、自由な足を後ろに引いた瞬間スタートを切られるでしょう。

セットポジションからなら、手数の少ない動きで牽制も捕手への投球もどちらもやりやすいのです。

セットポジションはランナーがいるときだけ?

田中の投球フォーム

セットポジションは、ランナーがいるときだけの投球姿勢ではありません。

ランナー目線から見れば、セットポジションで静止している投手を見て、牽制が来るのか本塁に投球するのか見分けが難しくなります。

さらに、クイック投法で走者の盗塁阻止を狙うことも可能です。

このような投球動作で、最小限の動きによって投球することが出来ます。

これはセットポジションならではの優位性で、クイックモーションを行うことでバッターのタイミングを外すことにも応用が出来るというのがポイントです。

そのため、1塁ランナーがいるときのクイックモーションだけでなく、ランナー無しの状態でのクイックモーションにも意味があるということですね。

まとめ:セットポジションの方がメリットが多い

ひと昔前までは、本格派の先発ピッチャーと言えばワインドアップというイメージでした。

しかし近年では、セットポジションでもそれほど球速や球威に影響を及ぼさないということがわかり、常にセットポジションで投げるエース級のピッチャーも増えています。

ランナーへの牽制やバッターのタイミングを狂わせる戦術としても、セットポジションで投げるメリットは大きいと言えるでしょう。

野球の試合で投手を務める際は、ぜひ練習しておくと良いですね。