【野球】素振りの意味と5つの種類【効果を上げるためには?】

素振りは、野球の練習の中でも最も初歩的な練習と言えるかもしれません。

野球をやったことがある人で素振りをしたことが無い人はいませんし、プロ野球選手でさえ素振りを大切にしています。

しかし、素振りはやり方や意味をしっかり考えて行わないと、ほとんど効果が無い練習になってしまうでしょう。

そこで今回は、野球で大切な素振りの正しいやり方や、素振りで得られる効果についてご紹介していきます。

少年野球を指導している方はもちろん、長く野球をプレーしてきた方でも、今一度確認しておくべき事項がたくさんありますよ。

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野球の練習で素振りをする意味は無い?

素振りのやり方や効果についての話になると、必ず「素振りは意味がない」派がいます。

少数ではありますが、素振りをやるんだったらティーバッティングなど実際にボールを打つ練習をすべきだと考えている人もいるわけです。

それは人それぞれの理論がありますから、一概に何が正しいということは言えません。

しかし、これだけはハッキリ言えます。

素振りはちゃんと意味や目的を把握して行えば、バッティングのスキルを向上させる素晴らしい練習になるということです。

もちろん、毎日好きな時に好きなだけフリーバッティングやマシン打撃ができる環境があれば、そこで練習した方が良いという意見もわかります。

そんな環境、野球人なら憧れますよね。

でもバッティングフォームがしっかり固まっていなかったり、理にかなっていないスイングをしていたりすれば、いくらボールをたくさん打っても身になりません。

まずは素振りで理想的なスイングを身に着け、自分なりのバッティングフォームを確立させることが先決なのです。

自分なりのバッティングフォームが固まっていなければ、調子の良い時や悪い時の違いがわかりませんし、バッティングが崩れてきたときに修正することも出来ません。

まずは素振りによって、バットをスイングするという動作を体に染み込ませるのです。

最低でもバッティングを3つに分割して、

  1. 構え方
  2. トップの作り方
  3. スイングの軌道

というポイントを、素振りによって一つずつチェックしていきましょう。

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素振りの効果

素振りがバッティング技術の向上に欠かせない練習であることは間違いありませんが、具体的にどんな効果が得られるのでしょうか?

  • バッティングフォームを固める
  • スイングスピードアップ
  • スイング軌道の修正
  • イメージトレーニング

バッティングフォーム固め

素振りの最大の目的は、自分のバッティングフォームを固めることです。

鏡を見ながら構え方を確認したり、動画を撮影しながらスイング動作を確かめるのも有効ですよね。

野球の試合で活躍するためには、打率を上げなければなりません。

打率を上げるためには、毎回同じ形でスイングできる再現性が必要です。

バットを振る度に違う身体の使い方をしていては、得意なコースでも自分の思い通りにバットが出せなくなります。

バッティングフォームが固まっていないと、打撃成績が安定しないのですね。

まずは素振りで、ど真ん中のボールや自分が最も得意としているコースのボールを、確実に捉えられるフォームを体に染み込ませます。

また、自分のバッティングフォームが確立していれば、バッティングの調子を崩したときにもすぐに修正が効きます。

戻すべき理想のフォームが素振りで固められていれば、どこが間違った動き方になっているのか判断できるからです。

バッティングフォームは人それぞれなので、まずは素振りで自分が最も振りやすい形を見つけていきましょう。

スイングスピードアップ

素振りを筋力トレーニングのような目的で行うのも、一つの練習です。

バッティングフォームは毎回崩さず、回数を重ねることで単純に振る力がついてきます。

握力や腕力がアップすることはもちろん、最もバットのヘッドが走る身体の回転を掴むことも出来るでしょう。

よく、量より質とか、質より量などといった比較が議論されることがありますが、量をこなすことで質が付いてくるケースもあるのです。

素振りはまさにその可能性を秘めている練習方法で、人よりもたくさん素振りを積み重ねることでスイングスピードは間違いなくアップするでしょう。

スイングスピードがアップすれば、大きい打球や鋭い打球が打てるようになります。

また、トップからミートまでの時間が短くて済むので、ボールを見極められる時間も長くなります。

ピッチャーが投げたボールをギリギリまで手元に引き付けても、スイングスピードが早ければ差し込まれずに打ち返せるのです。

素振りによるスイングスピードの向上が、選球眼の向上にもつながるでしょう。

スイングの軌道修正

バッティング技術でもかなり大切な項目になってくるのが、スイングの軌道です。

昔はダウンスイングが良いとされてきましたが、今の野球の打撃理論ではレベルスイングが推奨されています。

レベルスイングとは、ピッチャーが投げるボールに対して水平にバットを出すということです。

ピッチャーがボールをリリースしてからキャッチャーミットに収まるまでの導線に、ピッタリ合わせてバットを出すことができれば空振りはしませんよね。

レベルスイングが身につけば、ボールを捉えられる確率が上がって三振は減るでしょう。

素振りの段階でレベルスイングが出来ていなければ、打席では絶対に出来ません。

自分の間合いでバットを振れる素振りで、まずはバットを水平に出す軌道を身に着けましょう。

また、「インサイドアウト」といって、バットのグリップを最短距離で出すことも重要です。

インサイドアウトが出来ていれば、インコースでもアウトコースでも幅広く対応が出来ます。

ボールを押し返す力も伝わりやすいので、球威に押されて負けることも無くなるでしょう。

インサイドアウトについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

 

イメージトレーニング

素振りを効果的に行うには、試合をイメージしながら振ることが大切です。

ピッチャーの投球フォームをイメージして、しっかり振り込んでヒットを打つことを想像しながら素振りをしましょう。

得意なコースはもちろん、苦手なコースに投げられたケースもイメージしつつ、素振りでどのようなスイングで対応するのかイメージを付けるのです。

野球はメンタル面の要素も非常に重要なカギになります。

自信を持ってスイングすることが出来れば、スムーズにバットが出て鋭い打球が増えるでしょう。

逆に自信が無かったり、インコースに詰まらされたりするイメージが頭をよぎってしまうと、バットが出せなくなるものです。

素振りでは頭の中で、いつもヒットやホームランを打つときのことをイメージしながらスイングを重ねましょう。

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素振りの種類や回数

素振りはただ普通にバットを振るだけではありません。

少しの工夫で、様々な素振りの種類をこなすことが出来ます。

素振りの種類をいくつか見ていきましょう。

  • 9コースイメージ素振り
  • 連続スイング
  • ネットの前で素振り
  • バットの重さを変えて素振り
  • ギアを使って素振り

9コースの素振り

最もオーソドックスで、効果的なのがコースをイメージした素振りです。

オススメなのが、ストライクゾーンを9個に分割して、それぞれのコースに投球されたことをイメージしながら素振りする方法になります。

アウトコース高めから、インコース低めまで、それぞれピッチャーが投げるのを想像しながら振り込みましょう。

それぞれのコースを10回ずつ振り、最後に自分の最も好きなコースを10回スイングするだけでも全部で100回になります。

毎日100回でも素振りが出来れば、良い練習になるでしょう。

もちろん、20回ずつに増やして全部で200回出来たらもっと良いです。

連続スイング

通常の素振りのように、1回1回の間をとってスイングするのではなく、連続でテンポ良く行う素振りも効果的です。

1回ごとの素振りで間を置かず、出来るだけ早く連続で10回スイングしましょう。

ポイントは、毎回トップの形はしっかり作るということです。

ただ単に連続で10回振るだけでは、バッティングフォームは身につきません。

トップだけはしっかり作って、間を置かずにスイングするのです。

全力で行うと、10回でもかなり疲れます。

これを10セットでも出来たら、すぐに100スイングに到達するわけですね。

スイングスピードの向上という側面が大きいので、とにかく振る力をつけたい場合にオススメです。

ネットの前で素振り

ネットに正対する形で素振りをすると、インサイドアウトの理想的なスイングを身に着ける練習になります。

まずネットに正対して立ち、アウトコースギリギリにバットを出した時に、バットのヘッドが軽くネットに触れるくらいの位置で距離を取ります。

ネットとの距離を保ったまま、全力で素振りをしてください。

バットのグリップが身体から離れて、ドアスイングになってしまうとバットがネットに引っかかります。

最も力が伝わりやすい、理想的なインサイドアウトのスイングが出来ていれば、ネットに引っかかることなくスイングが継続できるのです。

バットが遠回りしてしまうクセを持っている人に、オススメの素振りですね。

バットの重さを変えて素振り

ここまでご紹介してきた素振りを、バットの重さを変えて行うのも効果的です。

マスコットバットや、ドーナツ型のリングを付けてバットを極端に重くして素振りをするのも良いでしょう。

この場合は、筋力のトレーニングという意味が出てきますよね。

逆に、極端に軽いバットで素振りをするのも効果があります。

軽いバットなら、当然スイングスピードは速くなりますよね?

速いスイングをしたときの身体の使い方を体感できるので、通常のバットでもスイングスピードを向上させることに役立ちます。

重いパターンも軽いパターンも、どちらの素振りも効果があるのでぜひ行ってみてください。

ギアを使って素振り

最近は、スイング矯正用のグッズが数多く商品化されています。

中でも有名なのが、「カウンタースイング」というバットで、通称「カチカチバット」とも呼ばれるバットです。

バットにコマのようなものが2つついていて、正しいスイングなら音が1回だけ「カチッ」となり、良くないスイングだと「カチッカチッ」と2回音がします。

甲子園で1大会のホームラン記録を作った、当時広陵高校の中村選手が愛用していたことで人気に火が付きました。

ドアスイングの改善や、トップの作り方、理想的な力の伝え方が自然に身につくという代物です。

また、「バレルバット」と呼ばれる、長打を打てるバッティングフォームを身に着けるためのギアも人気が出てきました。

こちらは「バレルゾーン」という、最もヒットやホームランになりやすい打球角度でボールを打つためのスイングを身に着けるための道具です。

 

勝手に理想的なスイング軌道が身につくということで、プロ野球選手でも西武ライオンズの外崎選手が愛用していることで話題になりました。

こういった便利なギアを使って素振りをするのも、面白い練習です。

素振り自体は単調な練習なので、こういった道具で趣向を変えるのも有効でしょう。

素振りで出来るマメの位置は気にしない

素振りを繰り返していると、手にマメが出来ると思います。

野球の初心者なら、たった1日ですぐにマメが出現するでしょう。

よく言われるのが、超一流の選手は素振りをしてもマメが出来ないという話。

でも、素振りでマメは絶対に出来ると思って良いです。

超一流の選手は、すでに何万回とスイングを繰り返してきているので、手の皮も強くなっています。

素人の野球を楽しむプレーヤーは、マメが出来るのが当たり前なのです。

手のどの位置にマメが出来たから、正しいスイングが出来ているというのもありません。

しかし、普段と違う位置にマメが出来始めたなら、少し注意した方が良いかもしれませんね。

普段とは違った身体の使い方になっている可能性がありますし、無駄な力が入ってしまっていることもあります。

いつもマメが出来る位置が同じかどうか、そのあたりはチェックしておいた方が良いかもしれませんね。

少年野球でも重要な素振りのチェックポイント

素振りは地味な練習なので、押さえるべきポイントを確認しながら行わないと練習の質が落ちます。

最低限確認すべき、素振りのポイントも整理しておきましょう。

  • 目線は前を向いているか
  • 踏み込む位置は一定か
  • 振り終わりにバランスが崩れていないか

目線

素振りを繰り返していると、どうしても目線がミートポイントに釘付けになりがちです。

実際に試合で打撃をするときには、ずっとミートポイントだけを見ているわけにはいきません。

ピッチャーの投球フォームを見て、ボールを目で追ってスイングをするはずです。

そこも頭の中でイメージして、ちゃんと目線でボールを追いながら素振りをした方が実践的な練習が出来ます。

踏み込みの位置

通常のバッティングでも、ピッチャー側の足(右バッターなら左足、左バッターなら右足)をグッと踏み込んで打ちます。

素振りでも同様で、踏み込む足の位置に注目してください。

同じコースを振っているのに毎回違う位置に踏み込んでいる場合は、スイングが安定していない証拠です。

踏み込んでいる位置が一か所に収まっているかどうか、素振りの際はぜひチェックしてみてください。

振り終わりのバランス

振り終わった後のフォロースルーのときに、バランスを崩してしまっているケースがあるかもしれません。

その場合は、しっかり身体の軸回転でスイングが出来ていない可能性があります。

腕の力で強引に振っていると、軸がブレてスイング後に体勢を崩してしまうわけです。

素振りの段階でも、振り終わったときにちゃんと身体を保てるように意識してスイングしましょう。

打席前の素振りの正しいやり方

素振りをする瞬間として、練習だけでなく実際の試合の「ネクストバッターズサークル」などでも行うことがありますよね。

 

一般的には、ネクストバッターズサークルではマスコットバットなど重さのあるバットを振ることが多いかもしれません。

しかし、そのバットが重すぎるとかえって逆効果になることをご存知ですか?

これは研究データでも発表されたことがあり、実際に打席で使用するバットよりも70%以上重いバットを振っていると、直後のスイングスピードが低下するという結果があります。

重さ900グラムのバットを試合で使うとしたら、およそ1500グラムを超えるようなバットでの素振りは打席の直前では避けた方が良いです。

バットのウエイトリングは600グラムくらいの物も多いので、打席直前では付けない方が良いということですね。

重いバットを振るくらいなら、極端に軽いバットで鋭い素振りを繰り返したほうが若干スイングスピードが上がるという研究結果もあります。

その時に全力で素振りをするのがポイントなので、ぜひ打席前のルーティンも見直してみてください。

まとめ:素振りはバッティングの基礎である

素振りが野球において非常に有効な練習であることは間違いありません。

ただ、何気なく数をこなすだけでは意味がないので、しっかりピッチャーを頭の中でイメージしながら行いましょう。

特に、トップをしっかり作って全力で素振りをするというのが効果的です。

一流のバッターは、皆例外なく素振りを大切にしています。

まずボールを打つ前に、素振りで自分なりの理想のフォームを作り上げていきましょう。




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